キャリア・ビジネス

緊急度と重要度を見極めて先延ばしを防ぐ

はじめに

「先延ばしはダメだ」と言われても、つい目の前のタスクを後回しにしてしまうこと、誰しも経験があるのではないでしょうか。特に重要な仕事や難しい課題ほど、「明日やろう」と思ってしまいがちです。

しかし、先延ばしが習慣化してしまうと、人生全般に悪影響を与えかねません。この記事では、先延ばしの習慣を断ち切り、今すぐ行動を起こすための具体的な方法を考察します。

先延ばしの本質とそのリスク

先延ばしは、緊急度や重要度が高いにもかかわらず、何らかの理由で行動を後回しにしてしまう行為です。タスクを後回しにする理由はさまざまですが、心理学的には「不安」「完璧主義」「怠け癖」などが背景にあることが多いとされています。

緊急度と重要度のマトリクス

先延ばしに関する有名な考え方に、「緊急度・重要度マトリクス」があります。このマトリクスは、タスクを「緊急で重要」「緊急でないが重要」「緊急だが重要でない」「緊急でも重要でもない」の4つに分類します。

緊急度:高い / 重要度:低い
(突然の電話やメール・日常的な雑務)
緊急度:高い / 重要度:高い
(締め切りが近い案件・突然のトラブル)
緊急度:低い / 重要度:低い
(目的のないSNSチェック・無駄話)
緊急度:低い / 重要度:高い
(戦略的計画・自己啓発)

多くの人が「緊急でないが重要」なタスクを後回しにする傾向にあり、結果として重要な仕事が未達成のままになるリスクが生じます。

優先順位として、表の①→④の順番で対応し、③(緊急度:高/重要度:低)は他者に委任できないか、④(緊急度:低/重要度:低)はやめることができないかも併せて検討してみましょう。

先延ばしの心理的要因と研究結果

多くの研究が、先延ばしの背景にある心理的な要因を解明しています。たとえば、ピアーズ・スティール(Piers Steel)の「先延ばしの法則」では、タスクの魅力や不安感が先延ばしの主な要因であると説明されています。特に、不安感が強い人ほど、タスクを避ける傾向があり、これが先延ばしの原因となります。

やらない理由を探す心理

先延ばしのもう一つの原因として、「やらない理由を探してしまう心理」があります。これは、人間のリスク回避本能に根ざしています。私たちは失敗を避けたいと思うあまり、タスクに取り組むことを後回しにする傾向があります。

心理学者ティム・ピチル(Timothy Pychyl)の研究によれば、この行動は「感情回避」と関連しています。ピチルは、先延ばしが短期的な感情の不快感を避けるための行動であると指摘しています。

たとえば、困難なタスクに対する不安やストレスを感じると、その感情を回避するために別の活動に気を取られてしまうのです。

先延ばしを防ぐコツと工夫

先延ばしを防ぐためには、いくつかの効果的な戦略があります。

1. タスクを小分けにする

大きなタスクは、完遂するまでの道のりが長く感じられ、先延ばししやすくなります。そのため、タスクを小分けにし、達成感を得やすい状態にすることが効果的です。

2. 期限を設定する

曖昧な期限ではなく、明確な締め切りを設けることで、行動に移しやすくなります。特に、自己設定の期限だけでなく、他者との約束を利用するのも有効です。

3. 自分を責めない

先延ばしをしてしまった自分を過度に責めると、さらに自己評価が下がり、先延ばしの連鎖が続くことになります。自分に優しくし、次の行動にすぐに移ることが重要です。

まとめ

先延ばしは、多くの人が経験する問題ですが、心理学的な要因を理解し、適切な対策を講じることで改善することができます。緊急度・重要度を考慮し、やらない理由を探す代わりに、今すぐ行動に移すことができるようになると、生活の質が向上するでしょう。

次回、先延ばしの誘惑に負けそうになったら、この記事の内容を思い出し、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。