はじめに
教育の場での雑談は、学習者と教師のコミュニケーションを促進し、より良い学習環境を作る重要な要素です。本記事では、適度な雑談の活用方法について詳しく説明します。
雑談がもたらす効果
教えるという状況は、教師と生徒、上司と部下のように上下関係があることが多いです。この際に「教えてもらっている立場だから」という思いは萎縮をまねき良い結果にならないことが多いです。
この時の『雑談』を行うことが次のような効果をうみます
- その人と話すことが楽しみになる
- 「わからない」と言いやすい環境を作れる
- 相互理解が深まる
①話すことが楽しみになる
- 教える側が忙しくて教えるための準備ができていない
- 教えられる側はイヤイヤ仕事や勉強をしている
こんなことはありませんか?
忙しいと自分の業務を優先したくなりますし、嫌な仕事や勉強をやらされる状況だと仕事と分かっていても気分がいいものではありません。
ただし、これが仲のいい友達や信頼している人と一緒にと一緒だったらどうでしょうか?この人にだったらしっかりとやってあげたいという気持ちが芽生えてきます。
まずは5分だけでも雑談をして学習者のリラックスした雰囲気を作り出し、自由に意見交換できるような環境づくりから始めましょう。
②「わからない」と言いやすい環境を作れる
「わからない」と言いやすい環境が整うことで、学習者は自らの理解度を確認し、より積極的に学習に参加することができます。
このような積極的な学習に参加する『アクティブラーニング』は文部科学省も推進しており、学校教育の中でも取り入れられています。
このアクティブラーニングにより、変化に対応できる能力も身につきます
③相互理解が深まる
教師が一方的に情報を伝えるだけでなく、学習者も自ら考え、意見を交換する機会が生まれます。このような双方向のコミュニケーションを通じて、より深い理解が促進されます。
ラーニングピラミッドにおいて、学習定着率は下記のようであるとされています。
(定着率50%以上がアクティブラーニングに該当)
学習定着率 | |
---|---|
5% | 講義 |
10% | 読書 |
20% | 視聴覚 |
30% | デモンストレーション |
50% | グループ検討 |
75% | 自ら体験する |
90% | 他の人に教える |
双方向のコミュニケーションを行うことで、
ただ聞くだけ(講義)の5% → グループ検討の50%
にまで定着率が上がることが見込まれます。
具体的な雑談内容
小学生~高校生であれば、
- 週末の予定や趣味について
- 入っている部活 や 学校であったこと
- テレビ や YouTebeでよく見ているジャンル
同僚・部下であれば、
- 趣味 や はまっていること
- 出身とその土地の有名スポット
- 季節のイベントや祝日の話題
など話してみてはいかがでしょうか。
この時、その話題について少し掘り下げてみてください。その人の価値観を知るきっかけになります。また、「○○と思っていたんだけど実際は△△なんだ~」と自分の勘違いを提示することで話を聞いてくれることがよく伝わります。
Yes/Noで答えられるクローズドクエスチョン・自由回答を求めるオープンクエスチョンを使い分けるのも効果的です。
塾講師時代はおとなしい子を担当することが多かったですが、オープンクエスチョンであまり声を出したくなさそうな子でもクローズドクエスチョンで首の動きで反応してくれました。それを繰り返すうちにザイオンス効果(単純接触効果)も相まって、オープンクエスチョンでも答えてくれるようになりました!
雑談という手段で人と話すことで、ストレス軽減・共感と理解を深める・自己肯定感の向上などにも寄与しますので『雑談』を楽しみ、よい学習環境を作りましょう!